修行僧の教え二人の若い修行僧が、いっしょに旅をしていました。ある日、二人は川にさしかかりました。 川を渡る必要がありましたが、その川に橋はなく、 ひざまで水に浸かりながら進まねばなりませんでした。 しかも、川の流れは、かなり勢いがありそうです。 そして二人は、一人の美しい女性が立っているのに気づきました。 その若く美しい女性は、川を見つめてたたずんでいます。 修行僧Aは「どうされたのですか?」と女性にたずねました。 女性は答えました。 「川の向こうに渡りたいのですが、川の流れが速くて、ためらっております。 遠回りすれば橋があるのですが、ずいぶん遠いものですから、 どうしようかと迷っております。」 修行僧Aは、こう言いました。 「ならば私が背負って差し上げましょう。 ちょうど私たちも、この川を今から渡るところなのです。」 それを聞いた修行僧Bは、あわてて修行僧Aにささやきかけました。 「おい、俺たちは修行中の身だぞ。 女性に触れるなんて、とんでもない。」 修行僧Aは微笑んで、 「困っている人に親切をするのも修行のうちだ」と答え、 女性を背負って川へ入っていきました。 川を渡り終えた修行僧Aは、 女性を降ろすと、何事もなかったかのように歩き始めました。 修行僧Bは、心の中で、 「あんな若い女性に触れるなんて、修行の妨げだ。とんでもないことだ。」 と思いながら、口には出さずに、修行僧Aと旅を続けました。 そして3日後、 ずっと気になっていた修行僧Bは、 ついに我慢できなくなって、修行僧Aに言いました。 B 「おまえ、3日前に女性を背負ったよな。 修行中の身で、あんなに若くて美しい女性に触れるなどとは、 修行の妨げ以外のなにものでもない。どう思っているんだ!」 A 「3日前? 女性? あー、あのことか。 おまえ、まだ、あの女性といっしょにいたのか!」 修行僧Bは、返す言葉を失ってしまいました。 3日間もあの女性のことにこだわっていた自分こそ、 あの女性と3日間もいっしょにいたようなものだったからです。 女性が修行の妨げになっていたのは、自分の方だったのです。 修行僧Bは、過去にとらわれていた自分を反省しました。 一方、修行僧Aは、「今ここ」に生きていたのです。 目の前に困っている人がいたら、 それが若い女性であれ、誰であれ、できる親切をほどこす。 修行僧Aは、それをやっていただけなのです。 ---------------------------------------------------------------- この話、いかがでしたか? 修行僧Bは、過去の出来事にとらわれていたために、 「今ここ」を生きることができていませんでした。 修行僧Bにとって、 過去へのとらわれが修行の妨げになったように、 私たちの人生においても、過去へのとらわれが、 私たちの飛躍や成長の妨げになることもあります。 もちろん、過去の経験から学ぶことは大切ですよね。 しかし、過去にとらわれ過ぎると、 自分の成長の可能性にフタをすることにもなりかねません。 「自分は、ここ数年、あまりパッとした仕事もできていないし・・・」 だからといって、 これからの可能性を値引きしてしまうのは、どうでしょう? 過去から学びながらも、過去へのとらわれを手放すことで、 これから思いっきり飛躍しませんか? 今、始まったばかりです。 新しい気持ちで、生まれ変わった気分で目標を立てましょう。 白紙の状態から、これからの未来を描いてみませんか? ジャンル別一覧
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